ホントは とじぇね

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マラソン全盛期を取り戻す挑戦2019  今年最初の大会 【岩手山ろくファミリーマラソン10キロ】

●大会前夜●

何故だか眠れない夜。

マラソンの大会など、すでに何度も出場している。もうかれこれラン歴は11年。慣れているはずのマラソンの大会なのに・・・・

 

『不調』に陥ってから、試行錯誤を繰り返してきたここ数年のことが、頭に浮かんでは消える。

今年は今までと少し違う試みをしている。なんだかんだと自分に言い訳をして、「教科書通り」のトレーニングをしてこなかった。自己流で結果が出ていたし、何より教科書はキツい。心にも体にもだ。藁にもすがる思いでもがいてきたここ数年。もう「教科書など必要ない」なんて言ってられない状況になってしまった。はたして「教科書」の威力はいかに。そして自分の現在は復調の兆しがあるのか・・・・食生活にも工夫をこらし、数日の禁酒もバッチリ。

色々な思惑が頭の中を流れていく。

 

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●自宅~会場●

結局あまり眠れなかった。夏至に向かう太陽は、日ごとに朝の訪れを告げる光を、北半球に注ぐ時間を早めている。朝焼けが綺麗に見えるほど、今日のレースの不安とのギャップを感じる。帰りの車中での僕はどうなっているのだろう・・・

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 今日の体調は?また原因不明の苦しさに襲われるのでは?

たかだか10キロ程度で体がおかしくなる訳は無い。

 

いろんな思考が浮かんでは消える。気づくと会場に着いていた。

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●到着~スタート●

朝食を取り、受付をして、スタートまでの時間を待つ。フルマラソンの経験もそれなりにあるし、10キロなど短距離にしか感じない。今の自分が10キロをどの程度のタイムでゴールできるのか。ただそれだけが気になって仕方ない。

いつもなら競争心の芽生える他のランナーの姿もあまり目に入らない。競うのは他のランナーじゃない。「自分」ただ一人。

スタートまでの時間を計りながら、汗が出るぐらいに体を温めるアップを開始する。フォームがいまいちな状態もこれまでの、昨年までの感覚と変わらない。加齢なのか、はたまた『調子が戻らない』のか。諦めのつかない思考は止むことが無い。

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●スタート~3キロ付近●

ハーフの選手たちを見送った。スタート会場であるトラックを駆け抜けていくランナーの姿は、この大会最長の距離を走るにふさわしい有志を見せながら、思いおもいに目の前を通り過ぎていく。ハーフの選手がトラックを出ていくと、10キロの選手がスタートに集まり始める。全盛期の僕ならば、迷わず前の方へと陣取るところだが、今はそんなおこがましい自信など微塵も無い。数年間にわたり、様々な大会で落としてきた「自信」といいう慢心は、もう今は僕の中には存在しない。スタート場所などどこでもいい。ただ現状の己の限界を知れればそれでいい。

僅かな待機時間を経て、号砲が鳴り響く。容姿で判断するのは失礼と思いながらも、予想外にほぼ全ての人たちが速い!驚きながらも周囲を再確認するが、老若男女が僕を追い越していく・・・10キロの大会は10年ぶり。しかも今回で2回目だ。レース運びを知らないのは僕だけなのか????トラック会場を後にし、一般道へと出ていく。僕は明らかに最後尾に近い。GPS時計の1キロ通過ラップタイムを確認する。4分40秒。全盛期にはまだ遠いが、今の僕としては悪くないスピード。悪いながらも足の回転はスムーズだし、体に当たる風の感じは、練習時とは違う速さだと、僕に教えてくれる。

それでも目の前には、大勢すぎるランナーが走っていた。

集団でスタートした塊は、2キロも走るとバラけてくる。各々が本来の自分のスピードに戻っていくのだ。それでも「アドレナリン」という興奮物質の影響を大きく受けている僕たちは、開始間もないにもかかわらず、互いをけん制しあい、順位を確保しようとする。これが俗に言うオーバーペースというものだ。己の実力以上のスピードで走っているのに、「興奮」が感覚を狂わせている。この先、大きな代償を払うことになるのも知らずに・・・・

 

●3キロ~6キロ●

長い列をなし、集団が間延びしていく。このようなローカルな大会は特に、トップとの実力差が乖離しすぎている。たった4,5キロ走っただけで、先頭と最後尾の差は、1キロ以上にもなってしまう。

3キロ付近の上り坂である橋を超えた僕は、自分の現状を確認する。呼吸の速さはどうだ?重心の位置はどうだ?

 

微々たる問題は無視してかまわない。10キロという距離は、フルマラソン以上の距離の経験者にとっては、あっという間の時間でしかない。正直いってこの距離のレース感覚が分からなかった。どのぐらいの呼吸の速さ(苦しさ)なら最後まで押していけるのか。どこからペースアップしたら、我慢しながら力を出し切ってゴールにたどり付けるのか。ただし、明らかに予定ペースより早いラップを刻んでいた。レース序盤の今は、まずここで満足するしかない。残りの距離に対して、自分に残っている力が、間に合っているのかさえ理解していないのだから。。。

田植えの準備に追われている農家の姿や、快晴の青空をバックに見える山並み。新緑までは届かないまでも、緑の鮮やかさを少しだけ眺めて、心を落ち着かせた。コースは割と平坦で、リズムを刻むには丁度いい。

 

●6キロ~8キロ●

完全に集団の間隔は空き始めていて、似たようなペースの人たちが並走したり、前方の差が埋まらなくなってきている。ここら辺からは、ペースダウンして脱落していく人もいる。6キロで折り返し。すれ違う先頭集団のスピードが半端ない!その中には女性もいる。人間って凄いなって、マラソンの大会に出るたびに思う。あのスピードで距離を刻んでいく。すれ違いざまに聞こえる呼吸音は、別に僕と変わらない。もしくはそれ以上の速さなのに、まったく苦しい顔も見せずにたんたんと走り去っていく。速いランナーというのは、ここが違う。苦しくてもそのまま最後まで自分を押していけるのだ。公務員ランナーだった川内選手がいい例。死にそうな顔をしながら、ペースを落とすことなくゴールできる。これが強いランナーの証。

折り返して残り4キロあまり。順調と思える感覚で走っている僕のスピードは、練習時では決してあり得ない速さだ。その割に呼吸は苦しくない。その割にだが。

GPS時計を確認し、残りの距離と自分の体力(スピード維持能力)とを比較してみる。

ギリギリを攻めているという結論になり、このままスピードを落とさないようにと、自身を鼓舞する。「自分との闘い」といいながらも、レースを始めるとどうしても目標(ターゲット)が欲しくなる。序盤では簡単に追い越せたターゲット達も、後半にマークしたターゲットは、そう簡単には追いつけない。20mぐらい前に、序盤で僕を追い越していったランナーを発見した。悠々と僕を追い越していったが、今は目の前にいる。あのランナーに追いつこう!できれば勝負したい!割に平坦なコースは、序盤で登って行った橋を迎えていた。僕の呼吸は速さを増して、遂に「苦しさ」を認識するまでになった。

 

●8キロ~ゴール●

 呼吸は苦しさを増し、声がこぼれるほどになってしまった。ここまで4分35秒程度のラップで刻んでくることができたが、これを維持するのが困難になってきた。目の前にはターゲットとするランナーがいる。ゴール間際のこの付近では、力が拮抗した者同士が走っている。同じ場所を走っているということは、同じ実力だということになる。だから、そう簡単に前には追い付けない。同じスピードで前方のランナーも走っているのだから。追いつきたければ僕がスピードを上げるか、ターゲットが落ちてくるのを待つしかないのだ。しかしこのレースはフルマラソンとは違う。前が落ちてくるのを待っている時間の余裕も距離も無い。追いつきたければ僕がスピードを上げるしかないのだ!乱れる呼吸を認識しながら、脚の疲労度を確認するも、脚も含めた体の異常は全く見当たらない。現状の僕は、「呼吸」という心肺機能が司る能力に頼るしかなく、そして『全盛期』とは程遠い己を再認識していた。。。

潰れるまで追い込む

僕を一度は追い越していったターゲットに手が届きそうになっていることと、全盛期の自分とのギャップに、単純にムカついた自分がいた。

橋を超える坂に差し掛かる。まずは肘を引き、腕ふりを強くする。それに合わせて脚に力を入れて回転を上げていく。登り座はは200mはあるだろう。ターゲットに並び、並走し、追い越す。追いついてくる様子はない。勝った!!

一瞬だけそう感じた。しかし、上り坂でアクセルを踏んだ代償は大きい。みるみるスピードが落ちていく。呼吸が苦しい。ゼェハァ、ゼェハァ。。。

後ろに追いついてくる足音が聞こえそうで、とにかく踏ん張る。ユルユルのスピードで上り坂の頂上へ。一瞬、フワッっとした解放感を感じるも、直ぐに下りに入る。ここまで呼吸が乱れると、下り坂など意味をなさない。。苦しさの延長は、ゴールするまで続く。田園を抜け、街中に戻ってきた。ゴールが近いのだ。歪んだ顔でGPS時計を見る。残り1.5キロ。沿道からまた、声援を送ってくれる人たちがいる。それに答える余裕など無い。「ありがとうございます」。心の中でお礼を想う。

もう心臓がおかしくなりそうだ。練習時のインターバルでもここまで追い込むことはできない。残り1キロ。長い。長い。‘‘えずき‘‘が込み上げてきた。呼吸なのか声なのか、自分でも分からない状態で体に酸素を取り込もうとする。ゴール会場のトラックには、周囲を埋め尽くす観客の声援が、薄っすらと聞こえる。もう周りも見えない。ただトラックに引かれたコースライン内側ギリギリを走ろうと、本能が体を突き動かす。気力という惰性で走っているランナー数人を追い越した。ゴールが見えると、自然と足の回転数が上がる。再び風を切るスピードになった。心臓が飛び出しそうだ。計測マットの上を超えた瞬間、一気に減速。そして前のめりに座り込んだ。

もう限界。今の、現状の僕の限界だった。

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●ゴール後●

座り込み手をついて、下を向き、サンバイザーのツバから滴り落ちる汗をずっと見ていた。しばらく呼吸は整わず、滴り落ちる汗は、大きな水たまりを作っている。ゴール間際に見た電光掲示板のタイム。最後まで4分35秒ぐらいのラップで走り切ることができた。しかし、全盛期の僕は、4分20秒でハーフマラソンを完走している。。。。。

『全盛期』『現状』の差はまだまだ離れている。

立ち上がり、スポーツドリンクを受け取った。一気に半分を飲み干し、コースを外れた芝生に寝転んだ。

 

最後まで追い込み、出し切れた

収穫はあった。また次のレースも戦うのだ『自分』と

己がそう望むのだから

 

 

5月の透き通った青空には雲一つなく、次々とゴールする選手を歓迎する声援が会場にこだましていた。

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少しでも誰かの心に響けたら!!

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。