僕にとっての『パワースポット』と呼んでいい場所が三つある。その中の一つに行ってきた。
寒風山だ。
秋田県男鹿市にある寒風山は、男鹿半島の付け根にある成層火山である。
ここからの見晴らしは最高。地元の人は勝手に『世界三景 寒風山』と言っているようだ。
標高355mからの見晴らしは圧巻。日本海との境目である海岸線を一望でき、眼下に広がる町並みはどこまでも遠く、世界の広さを客観的に伝えてくれる。
僕は高い所が好きだ。高い所から下界に広がる町並みを眺めるのがとても好きだ。
理由はただ一つ。自分が、自分だけが生きてる訳じゃないってことを直接肉眼で確認できるから。
眼下に広がる町並みを眺めながら己をも俯瞰して感じる事ができる。
辛い時、苦しい時には仕事をサボってでも高い所に行きたくなる。小さく狭くなった自分の心の器を広げに行くのだ。
もちろん世界中には沢山の人間がいて、まさに『生きる』ってことを実践している。
僕は世界中を見渡すことはできないが、世界の一部なら見渡すことが出来るわけだし、そんな『一部』にでさえ人々が生きている。色んなものを抱えながら。
高い所から僕に見せてくれる景色や町並みは、そんな当たり前のことを再確認させてくれる場所なのだ。
ここ寒風山は、僕が気軽に行ける場所の中で、最も高い位置にある。
昼間の景色を堪能しながらふと思った。夜ってどうなるんだろう?と。
この景色が夜はどんなふうに変化するのだろうと興味がわいた僕は、天気予報を小まめにチェックしながら計画を立てた。そして先日ついに夜の寒風山に行ってきた。
僕の携帯ではこれが限界。夜景モードで撮影してもこのぐらいしか写らなかった。
写真では白い明かりだけが見て取れるが実際の夜景は、黄色や赤や緑など、沢山の光が輝いていて、それはもう美しいの一言。
この日の目的は他にもある。
天気予報をチェックしていた理由は夜空を見るため。
寒風山の上にはほぼ建物が無い。だから真っ暗闇の中で星空もさぞ綺麗に見えるだろうと予測していた。
同行してくれた友達は、一眼レフカメラに三脚を持参し夜景と星空とのコラボを撮影しようと試みていた。
捉えようとする光の強さを調節するのに四苦八苦しながら何度もシャッターを切る。
夜景の明かりが邪魔をして星が撮影しずらいとぼやいている。
この日は空にお月様が。半分欠けた月が出ていた。
肉眼で見上げた夜空は、夜景の人工的な光よりももっと強く月が輝いていて、38万キロという近さも相まって、『光年』と単位の違う星たちを蹴散らさんばかり。
「星が見たいなら新月に来るべき」との友達の言葉通りで、僕が期待していた『星空』は期待を大きく裏切る結果となった。
上弦の月を憎たらしく思っていると「撮れたよ」との友達の声。
カメラのモニターを見るとそこには、沢山の星と共に天の川が写っていた。これには僕も驚いた。なぜなら撮影方向を見ても天の川なんて見えない。どこにもない。なのにモニターには写っているのだ。
驚く僕に友達が教えてくれた。
星空を撮影するにはシャッタースピードを遅くして多くの光を取り込む必要がある。カメラに光が蓄積するので肉眼では捉える事のできない微細な光源も捉える事ができのだと。
もう一度撮影方向を見た。凝視した。でもやはり天の川は見えない。
見えないけれど確かにそこに天の川は存在する。
『見えない』のではなく『見る事ができない』だけなのだ。
僕の目の感度を上げればきっと見る事ができる。
この世の中には見えないものだらけ。そう思った。
社会の情勢も、お金の流れも、未来も、そして人の心も。
目に見えるものだけが全てじゃない。
感度上げていこ。そしたら今と違う世界が見えるかもしれないから。
感度上げなきゃならんのは、ベッドの上だけじゃないぜ!!
と、友達が申しておりましたm(_ _)m
少しでも誰かの心に響けたら!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。