僕の田舎でしりとりをやると、終わりが来ない。全員が無敵の人だ。言葉の無限ループになる。※僕以上の世代
しりとりのルールを思い出していただきたい。『ん』が最後に付くワードを言ったらそこで終わり。その人が負けとなる。有名すぎるルールだ。なぜ『ん』がついたら終わりなのかご存じだろうか。『ん』から始まる言葉が無いから次につなげようが無いという事だ。しかし僕の田舎では『ん』から始まるワードは無限にあると言っても過言ではない。
『んさぎ』『んめ』『んなぎ』『んま』『んみ』『んんどうかい』『ンクレレ』『ンイター』『ンズベキスタン』
まずは、そのまま発音していただきたい。自然な東北なまりの完成だ。
そろそろお分かりだろうか。『ん』を『う』に変えて頂ければ、都会の皆さんも理解できる言葉になる。
発音じゃん!言葉じゃないじゃん!という突っ込みは止めて頂きたい。実際に僕は小学校の低学年の時、発音言葉で作文を書き、教師を苦笑いさせたことがある。自分がなまっていること自体に気づいていないのだから仕方ない。笑いを誘っていないのに、笑われそうになったあの『笑いをかみ殺す他人の顔』の記憶は、はっきりと覚てる・・・・
そんな、おらほ(僕たち)の村さ、テレビがきた!!
僕が小学校5年生の時のことだ。『裸の大将』というドラマの撮影が僕の地元で行われたのだ。そのエキストラとして僕たちの伝統芸能も撮影に加わることになった。当然ギャランティーも発生した正式なオファーだ。後にニューヨークにも招待された、その伝統芸の記事を貼っておきます。
もう30年も前のことで記憶がしっかりとはしていないのだが、最近何気なくYouTubeで検索したらその動画が上がっていたのだ。自分が『俳優』であることを思い出した。
www.youtube.comこの映像の15分50秒と24分50秒のところの僕の俳優時代の映像がある。
見て頂きたい!!この名俳優ぶりを!!自然な雰囲気で映像に溶け込み、物語を決して邪魔しない円熟味を帯びた僕の演技を!!まさに天才子役!!
・・・・・・・ごめんなさいm(__)m
映像とかは本物です。出てるのも僕です。5000円のギャラも発生しました。YouTubeの映像はドラマが完全に収納されているし、結構内容も面白いので、興味のある方は最後まで見てください。
都会では通用しない『無敵のしりとり』を日常とする僕の町に芸能人がきたんです。そしてドラマの撮影ですよ。正直、恐怖でした(笑)当時の僕にとって、いや僕たちにとって、生の芸能人なんて初めて見るし、宇宙人なみに珍しいかったのです。生で見る芸能人は、普通の人間でした。一番驚いたのが『生の標準語』です。初めて肉声の標準語を聞いた時の違和感たるや、本当に忘れもしません。スタッフや俳優さん女優さんたちが目の前でテレビから聞こえてくる『標準語』を普通に日常会話として使っている!!本音と建て前ってあるじゃないですか。僕はテレビの中は建前で、私生活は本音だから、都会の人は別の言葉を使っているんじゃないかと、変な勘違いをしていました。だってその位普段僕らが使っている言葉と違うんですもの・・・・
それから時は経ち今の僕は、ほぼ標準語です。方言を忘れてしまっています。言葉って使わないと本当に忘れてしまうものなんだと、身を持って体験しました。そして寂しく思います。漢字を思いだせないみたいな感じで、方言を聞くと理解し思い出すのですが、今の自分からは出てこないのです。そして何より悲しいのが、地元の子供たちも標準語に染まってきているということ。僕の故郷の言葉。一番感情を伝えやすい言葉。それが方言です。「じゃあね!」より「へばな!」の方がしっくりきます。これが『故郷の言葉』というものなのですね。僕がやっていた伝統芸能が消えそうになっているみたいに、『方言』というその地域の文化が凝縮した言葉が消えてしまうのも『時代』なのでしょうか・・・
失いたくないものがある
失ってはいけないものがある
お金じゃ買えないものも、この世にはあるのですよね。
少しでも誰かの心に響けたら!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。